予算の都合で、家じゅうの窓を一度に内窓にはできない。そのとき、どの窓から手を付けるかで結果が大きく変わります。「いちばん寒く感じる小窓から」と考える方が多いのですが、それはたいてい効率の悪い順番です。現場で実際にどう順位を付けているかを書きます。
この記事の上位ガイド
大原則は「部屋単位でそろえる」
順位の話に入る前に、これだけは先にお伝えします。同じ部屋に内窓を付けない窓を残すと、そこから熱が逃げ続けます。断熱は弱いところで決まるので、掃き出し窓だけ内窓にして腰高窓を残すと、体感はあまり変わりません。
だから優先順位は「窓の順位」ではなく「部屋の順位」で考えます。1部屋ずつ、その部屋の窓を全部やる。これが基本です。
補助金の面でも同じです。国の先進的窓リノベ2026事業は補助額の合計が5万円以上でないと申請できません。小窓を1枚だけ替えても額が届かず、補助を使えないことがあります。くわしくは内窓の補助金はいくらもらえる?をご覧ください。
部屋の順位を決める4つの軸
| 軸 | 見かた |
|---|---|
| 滞在時間 | いちばん長くいる部屋から。リビング、次に寝室。ほとんど使わない部屋は後回しで構いません |
| 窓の面積 | 大きい窓ほど熱の出入りが多く、効果が大きく出ます。掃き出し窓のある部屋が優先 |
| いまの窓の仕様 | アルミサッシ+単板ガラスなら効果が大きい。すでに複層ガラスなら伸びしろは小さくなります |
| 困っている症状 | 寒さなのか、結露なのか、音なのか。症状が出ている部屋が最優先です |
この4つが重なる部屋——長くいて、窓が大きく、アルミの単板で、実際に困っている部屋——から着手すれば、まず外しません。多くの家ではリビングです。
方位で変わること
同じ家の中でも、窓の向きで役割が違います。ここを知らずに全部同じ仕様にすると、もったいない結果になります。
| 方位 | 起きていること | 考え方 |
|---|---|---|
| 北 | 日射が入らず、冬はひたすら冷える。結露も出やすい | 断熱を最優先。効果が体感しやすい面です |
| 西 | 夏の西日で室温が上がる | 日射を遮る構成を検討。断熱型では夏の効きが鈍いことがあります |
| 南 | 冬は日射が入って暖かい。夏は暑い | 冬の日射取得を消したくないので、遮熱にするかは慎重に |
| 東 | 朝日は入るが、日中は日射が少ない | 断熱重視で問題になりにくい面です |
ガラス構成の選び分けは内窓のガラスの選び方にまとめています。断熱型と遮熱型は逆方向に働くので、方位を見ずに選ぶと期待が外れます。
よくある選び方の失敗
- いちばん寒い小窓から付ける。面積が小さいと効果も小さく、補助金の下限にも届きません。体感を変えたいなら大きい窓から
- 各部屋の掃き出し窓だけを1枚ずつ付ける。どの部屋も中途半端になります。1部屋を完成させるほうが体感は上です
- 使っていない部屋から手を付ける。納戸や物置になっている部屋を先にしても、暮らしは変わりません
- 寒さの原因が窓でないのに窓から始める。床が冷たい、玄関から冷気が来る場合は窓を替えても体感が変わらないことがあります。内窓を付けても寒い・効果がない5つの原因をご確認ください
予算別の進め方
- 1部屋分の予算しかない:リビング(または最も長くいる部屋)の全窓。ここで効果を体感してから次を決めるのが確実です
- 2部屋分ある:リビング+寝室。就寝中の冷えと結露が変わります
- 家全体を検討できる:居室をまとめて。補助金は1戸あたり100万円が上限なので、まとめたほうが有利になる場合があります
なお「今年はリビング、来年は寝室」と分けても補助金は使えますが、年度ごとに制度の内容が変わるため、翌年に同じ条件で使える保証はありません。まとめられるならまとめたほうが安全です。
窓より先にやったほうがよい場合
正直に申し上げると、次のような住まいでは窓を後回しにしたほうが結果が出ます。
- 床下からの冷気が明らかに強い(足元だけが冷たい)
- 窓枠や下地が腐食していて、そもそも内窓を固定できない
- すでに全窓が複層ガラス+樹脂サッシで、伸びしろが小さい
部位ごとの優先順位は床下断熱と窓断熱はどちらが先?で比較しています。当社はサッシ屋ですが、窓では解決しない住まいにはそうお伝えします。
どの部屋から始めるべきか、一緒に決めます
間取りと窓の状況、いちばん困っていることが分かれば、費用対効果の高い順番をご提案します。全部やる前提の見積もりではなく、区切って進める案もお出しします。サッシ歴60年以上・自社施工の専門店です。現地調査・お見積もりは無料です。
あわせて読みたい