窓の防音性能を調べていると、「Dr値」や「T-2」「T-3」といった表記を目にすることがあります。どちらも音の遮りやすさを表す数字ですが、評価している対象が違います。この記事では、Dr値とT等級の違いと、製品の数値を実際の住まいの対策に結び付けるときに確かめておきたい点を整理します。
なお、この記事は日本環境アメニティ、YKK AP、LIXILが公開している技術資料をもとにまとめたもので、当社が遮音性能を測定した結果ではありません。
Dr値とT等級は評価する対象が違う
Dr値(室間音圧レベル差等級)は、2つの部屋の間でどれだけ音が遮られているかを表す指標で、JIS A 1419-1に定められています。数値が大きいほど遮音性能が高いことを表します。
一方、窓やドアなどのサッシの遮音性能を表すのがT等級で、JIS A 4706(サッシ)とJIS A 4702(ドアセット)に定められています。T-1からT-4までの4段階があり、数字が大きいほど遮音性能が高いことを表します。
つまり、Dr値は部屋と部屋の間、T等級は窓やドアという製品を評価する指標です。窓の製品どうしを比べるときは、T等級を確認するのが基本で、Dr値だけで窓の防音性能を判断することはできません。
もう一つ気をつけたいのが、試験の値と住まいでの効き方の違いです。LIXILは内窓「インプラス」の発表資料で、遮音性能はJISで定められた方法により実験室で測った値であり、実際の建物の現場で測ると音の伝わる空間の状況が異なるため、測定値に差が出ると注記しています。カタログの等級は、ご自宅で同じだけ音が小さくなることを約束する数字ではありません。
音の種類によって効き方が違う
| 音の種類 | 窓による対策で確かめたいこと |
|---|---|
| 車の走行音・話し声など | 音源によって含まれる周波数が違うため、対策したい音と製品の試験結果を照らし合わせる |
| 低音・振動を伴う音(工事音、重低音の音楽など) | 窓の対策だけでは効果が限られる場合がある |
YKK APの資料では、騒音は種類によって周波数の特性が異なり、サッシの遮音性能もサッシの種類・構造や使うガラスによって変わるとされています。等級が高い窓でも、気になる音の高さや、音が入ってくる経路によって効き方は変わります。壁や換気口、すき間、建物の振動を通して伝わる音もあるため、窓を替えるだけで音が消えるとは限りません。低い音や振動を伴う音で窓の効果が限られることがある、という点は一般に言われている傾向で、当社が測定したものではありません。
等級を見比べる前に、お悩みの音に窓の対策がそもそも合うのかを知っておきたい場合は、先に車・電車・話し声など、自分の音に効きやすい窓の防音対策を確かめると、業者に何を聞けばよいかが見えてきます。
業者選びで確認しておきたいポイント
防音を目的に内窓工事を相談するときは、次の点を確かめておくと、期待とのずれを防ぎやすくなります。まず、現地調査で、どんな音がどの経路(窓・壁・換気口・すき間など)から入っているかを見てもらえるかどうか。次に、提案されるガラスの仕様(複層ガラスの厚みの組み合わせ、防音合わせガラスの有無など)と、その理由を説明してもらえるかどうか。示された等級が、ガラス単体・窓・外窓との組み合わせのどれで測った値かも聞いておくと比べやすくなります。最後に、効果には住まいや環境による差があることを、工事の前にきちんと説明してくれるかどうかも大切な判断材料です。
防音対策としての内窓工事を検討するなら
まずは、気になる音の発生源(道路、線路、近所の生活音など)と、聞こえる時間帯、窓を閉めたときにどう聞こえるかを書き出しておきましょう。そのうえで現地調査を受け、窓以外の経路も含めて、どこまで改善が見込めて、どんな音が残りそうかを施工店と共有しておくと、工事のあとの「思ったほど静かにならない」を減らせます。音の原因がはっきりしない場合や、窓以外の対策も含めて考えたい場合は、音響の専門会社に調査を相談する方法もあります。
話し声や犬の鳴き声など、近所の生活音が気になっている方は、生活音に内窓がどこまで効くかを先に確かめてから、現地調査で相談したい音を絞り込んでみてください。
まとめ
Dr値は部屋と部屋の間、T等級は窓やドアといったサッシの遮音性能を表す指標で、同じ物差しとして比べることはできません。窓を選ぶときはT等級と、その値がどんな条件で測られたかを確かめ、試験の値と住まいでの効き方には差が出ることも前提にしておくと安心です。気になる音の種類と経路を、現地で確かめてもらうところから始めてみてください。
参考資料
Dr等級とT等級の定義を日本環境アメニティ「音響性能指標」で確かめる



