💴 内窓の補助金は「1窓あたりいくら」で決まります
公式の補助額表(サイズ4区分×グレード2種)、上限100万円と下限5万円、申請の流れまでを1ページにまとめています。2026年からAグレードが対象外になった点もあわせてご確認ください。
窓の寒さや結露を何とかしたい、と考えたときに最初にぶつかる分岐が「内窓を付けるか、既存サッシのガラスだけ替えるか」です。どちらも窓の断熱を高める工事ですが、効き方も費用も工期も違います。さらに、建物の条件によっては片方しか選べないこともあります。この記事では、埼玉・東京で窓リフォームを手がける立場から、両者の構造的な違い、断熱と防音の効き方、費用と工期、補助金の対象条件、マンションでの可否、そして第3の選択肢であるカバー工法まで整理し、最後に判断フローを表でまとめます。
そもそも工事方法がまったく違う
内窓(二重窓)は「もう一枚の窓を室内側に足す」工事
内窓は、既存の窓はそのまま残し、室内側の窓枠に樹脂製のサッシをもう一組取り付ける工法です。既存窓との間に空気層ができ、この空気層が断熱と防音の主役になります。既存サッシに一切手を触れないため、外壁や外観を変えずに済むのが大きな特徴です。ふかし枠を使えば奥行が足りない窓にも対応できますが、窓枠の奥行がおおむね6〜7センチ程度確保できるかは事前に確認が必要です。
ガラス交換は「既存サッシのガラスだけ入れ替える」工事
ガラス交換は、既存のサッシ枠はそのままに、中の単板ガラスを複層ガラスや真空ガラスに入れ替える工法です。既存のアルミサッシは厚みのあるガラスを想定していないことが多いため、実際にはガラス溝の幅(呼び込み寸法)に収まる製品が選べるかがカギになります。溝が浅い場合、真空ガラスのように薄くて高性能な製品や、アタッチメント付きの複層ガラスが選択肢になります。アタッチメント方式は納まりの都合上、既存の網戸やクレセントとの干渉、見付けの見え方が変わる点に注意が必要です。
断熱性能の差は「枠の熱橋が残るかどうか」で決まる
ガラスを替えても枠は替わらない

ここが最も重要な論点です。日本の住宅で多く使われてきたアルミサッシは、熱を非常によく伝えます。ガラスだけを複層や真空に替えると、ガラス面からの熱の出入りは大きく減りますが、アルミの枠は熱橋(ヒートブリッジ)としてそのまま残ります。結果として、窓全体で見た断熱性能の改善は、ガラス単体のカタログ値ほどには伸びません。
そして体感として現れるのが結露です。ガラス面の結露は減っても、冷えたアルミ枠の表面で結露が続くケースは珍しくありません。「ガラスを替えたのに窓の下がまだ濡れる」というご相談は、この構造から来ています。
内窓は枠ごと樹脂で覆うため弱点が少ない
内窓は樹脂サッシ+複層ガラスの組み合わせが一般的で、室内側に面する部材がすべて樹脂になります。アルミ枠は既存窓側に残りますが、その手前に空気層と樹脂サッシがあるため、室内側表面が冷えにくくなります。窓全体としての断熱性能の伸びしろは、一般にガラス交換より内窓のほうが大きいと考えてよいでしょう。既存窓の隙間風も、内窓の気密によって遮られます。
性能比較表
| 比較項目 | 内窓(二重窓) | ガラス交換(複層・真空) |
|---|---|---|
| 断熱の改善幅 | 大きい(枠の弱点も同時に緩和) | 中程度(アルミ枠の熱橋は残る) |
| 結露対策 | 室内側表面が冷えにくく効果が出やすい | ガラス面は改善、アルミ枠の結露は残りやすい |
| 防音効果 | 高い(空気層と二重の気密で低音域にも効きやすい) | 限定的(合わせガラスなら中高音域に一定の効果) |
| 隙間風 | 大きく改善 | ほぼ変わらない |
| 操作性 | 開閉が2回になる | これまでと同じ |
| 室内側の見た目 | 枠が増え、窓台がやや狭くなる | ほぼ変わらない |
防音の効き方は構造で説明できる
音を止めるのは「質量」と「縁の切れ方」
音は空気の振動として伝わるため、隙間があると簡単に入ってきます。内窓が防音に強いのは、二重の気密で隙間経路を減らしたうえに、既存窓と内窓の間の空気層が振動の伝わりを断ち切るからです。特に、幹線道路の交通騒音や電車の走行音のような低い周波数帯に対しては、複層ガラス単体よりも内窓のほうが有利に働く傾向があります。
ガラス交換で防音を狙う場合、単に複層にするだけでは効果は限定的です。中間膜の入った合わせガラスや、2枚のガラス厚を変えた異厚構成にすると改善が見込めます。ただし既存サッシの気密が低ければ、そこから音が回り込むため、ガラスの性能ほどには体感が伸びません。
音の悩みが主目的なら内窓が有力
ピアノや在宅会議の音漏れ対策、外からの騒音対策など、防音が主目的であれば内窓を優先的にご検討ください。さらに効果を高めたい場合は、内窓側のガラスを合わせガラス仕様にし、既存窓との間隔をできるだけ確保する構成が定石です。
費用・工期・補助金で比べる
費用と工期の目安
| 工法 | 費用の目安(1窓あたり) | 工期の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 内窓(腰高窓) | おおむね6〜12万円 | 1窓30分〜1時間程度 | ふかし枠が必要な場合は加算 |
| 内窓(掃き出し窓) | おおむね10〜18万円 | 1窓1時間前後 | サイズ・ガラス仕様で変動 |
| ガラス交換(単板→複層/真空) | おおむね4〜15万円/1枚 | 1枚30分程度 | 真空ガラスは高価格帯 |
| カバー工法によるサッシ交換 | おおむね20〜40万円/1窓 | 1窓半日程度 | 枠ごと更新できる |
上記は標準的な条件での目安であり、窓サイズ、ガラス仕様、下地の状態、搬入経路などで変動します。※最新情報は公式サイトでご確認ください
工期はいずれも1日で完了することが多く、内窓は既存窓を壊さないため騒音や粉じんがほとんど出ません。ガラス交換も既存サッシを外して工場加工する場合を除けば、その場で完了することが一般的です。
補助金の対象条件が判断を大きく左右する
2026年度も国の窓リフォーム支援として、住宅省エネ2026キャンペーンの枠組みのなかで先進的窓リノベ2026事業が継続しています。※最新情報は公式サイトでご確認ください
この種の制度で押さえておきたいのは、次の考え方です。
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 対象製品か | 制度に登録された型番の製品であることが前提。未登録品は対象外 |
| 性能グレード | 熱貫流率などの性能区分ごとに補助額が変わる仕組みが一般的 |
| 施工事業者 | 制度に登録された事業者による施工・申請が必要 |
| 工事の時期 | 契約日・着工日・完了日に期限の定めがある |
| 予算の消化 | 予算上限に達した時点で受付終了となることがある |
ガラス交換も対象になり得ますが、一般に補助額は内窓やサッシ交換に比べて小さく設定される傾向があり、性能区分によっては対象外になることもあります。実質負担で比較すると、補助金を織り込んだ内窓のほうがガラス交換より割安になるケースも出てきます。制度の詳細と最新の要件は年度ごとに変わりますので、必ず公式の情報でご確認ください。※最新情報は公式サイトでご確認ください
マンションではどう考えるか
窓は多くの場合「共用部分」
分譲マンションでは、窓サッシとガラスは専有部分ではなく共用部分として扱われるのが一般的です。そのため、ガラス交換やサッシのカバー工法は、管理規約上そのままでは実施できないことが多くなります。まずは管理規約と細則を確認し、管理組合への申請や理事会の承認が必要かどうかを確かめてください。
内窓は認められやすい
一方、内窓は室内側に新設するもので、外観を変えず共用部分にも手を触れないため、専有部分の工事として認められるケースが多くあります。ただし、これも管理規約次第ですので、着工前の届出は必須と考えてください。賃貸物件の場合は、原状回復の条件を含めて貸主の承諾を得る必要があります。
なお、マンションでは断熱改修と同時に換気の見直しも重要です。気密が上がると、換気が不足したときに室内の湿気が逃げにくくなることがあります。24時間換気の給気口が塞がれていないかも、あわせて確認しておきましょう。
第3の選択肢:カバー工法によるサッシ交換
枠ごと新しくできる
カバー工法は、既存のサッシ枠を残したまま、その上から新しい樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシの枠をかぶせて取り付ける工法です。外壁を壊さないため大掛かりな工事にならず、1窓半日程度で完了することが多い方法です。アルミ枠の熱橋そのものを解消できるため、断熱性能の伸びは3つの工法のなかで最も大きくなります。結露対策としても本命といえます。
デメリットは開口が小さくなることと費用
既存枠の内側に新しい枠を納めるため、開口寸法がひと回り小さくなります。掃き出し窓では出入りのしやすさに影響することもあります。費用も1窓おおむね20〜40万円と、内窓やガラス交換より高くなります。※最新情報は公式サイトでご確認ください。ただし補助金の対象になれば実質負担は縮まりますし、サッシ自体が老朽化して開閉が重い、レールが摩耗している、といった場合は、内窓を足すよりも根本的な解決になります。
判断フロー:あなたはどれを選ぶべきか
| あなたの状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| ガラスが割れた・曇った、既存サッシの状態は良好 | ガラス交換 | 最小限の費用と工期で対処できる |
| 窓枠の奥行が足りず内窓が付けられない | ガラス交換(真空ガラス等) | 薄い高性能ガラスなら既存溝に納まる可能性がある |
| 寒さ・結露を本気で改善したい | 内窓 | 空気層と樹脂枠で室内側表面が冷えにくい |
| 騒音・音漏れが悩み | 内窓(合わせガラス仕様) | 二重の気密と空気層が低音域にも効きやすい |
| 補助金を最大限使って費用対効果を上げたい | 内窓またはカバー工法 | 性能区分の高い工法ほど補助額が大きい傾向 |
| サッシが古く開閉が重い・レールが傷んでいる | カバー工法 | 枠ごと更新でき、熱橋も解消できる |
| 出窓や特殊形状で納まりが難しい | 現地調査で個別判断 | 製品対応可否と下地の状態確認が必要 |
| 分譲マンションにお住まい | 内窓(管理規約の確認は必須) | 共用部分に手を触れず外観も変わらない |
よくある質問
Q1. 内窓を付けたのに結露が完全にはなくなりません。なぜですか。
A. 内窓は結露を大幅に減らしますが、ゼロにする装置ではありません。室内の湿度が高すぎる場合や、内窓と既存窓の間の空気が室内側の隙間から入り込んでいる場合、既存窓側のガラスに結露が出ることがあります。加湿器の使用状況、洗濯物の室内干し、換気の稼働状況を見直すと改善することが多くあります。それでも残る場合は、内窓のクレセント調整で気密を確保できているか確認してください。
Q2. 真空ガラスにすれば内窓は不要ですか。
A. 真空ガラス自体は薄くて高性能ですが、既存のアルミ枠が残る点は変わりません。ガラス面の断熱と結露は改善しますが、枠まわりの冷えや隙間風は残ります。断熱を目的とするならガラスと枠の両方をどうするかで考えるのが正確です。既存サッシの気密が良好で、枠の結露が問題になっていない住まいであれば、真空ガラス単体でも十分に満足度が高いケースはあります。
Q3. 家中の窓を一度にやるべきですか。
A. 予算に制約がある場合は、優先順位を付けるのが現実的です。一般に、面積の大きい掃き出し窓、北面の窓、長く過ごすリビングや寝室から着手すると体感が変わりやすくなります。ただし補助金は工事の時期や申請単位に条件があるため、分割すると受けられる金額が変わる場合があります。計画段階でご相談いただければ、順番と申請のタイミングを含めてご提案いたします。
Q4. 費用だけ見るとガラス交換のほうが安いのに、内窓を勧められるのはなぜですか。
A. 費用対効果の考え方によります。ガラス交換は初期費用が抑えられますが、枠の熱橋が残るため改善幅が限定的で、補助額も小さくなりがちです。断熱と結露の改善を目的とするなら、補助金を差し引いた実質負担と得られる効果の両方で比較したほうが納得のいく判断ができます。逆に、ガラスの破損対応や部分的な更新であれば、ガラス交換が最適解です。
まとめ
内窓とガラス交換の最大の違いは、アルミ枠の熱橋が残るかどうかです。ガラス交換は費用と工期が最小で、ガラスの破損対応や窓枠の奥行が足りないケースで有力ですが、枠の結露や隙間風は残ります。内窓は空気層と樹脂サッシによって断熱・防音・気密を総合的に改善でき、腰高窓でおおむね6〜12万円、掃き出し窓でおおむね10〜18万円が目安です。※最新情報は公式サイトでご確認ください。サッシ自体が古く傷んでいる場合は、1窓おおむね20〜40万円のカバー工法が根本的な解決になります。2026年度も先進的窓リノベ2026事業をはじめとする支援制度が継続していますので、対象製品・性能区分・登録事業者・工事時期の4点を確認したうえで、実質負担で比較してください。マンションの場合は管理規約の確認が出発点です。
※本記事の制度・価格情報は2026年8月執筆時点のものです。